nice body
君の名前を鼻歌にしたりというのは、とても良いアイディアに思う。ただ心配なのは、一般的にいって名前は高々数文字しかないので、それで鼻歌として成立するかということである。たとえば、名前が「花子」であった場合、たったの3文字で鼻歌を作ったとしても、歌い出してからあまりにも早く終わってしまい、そもそもそれが歌といえるのかも疑問であるというのが当初の心配であった。ところが、サビの後で歌われるノー、ノー、ノー、イェイ、イェイ、イェイは共に3つの音符で成り立つ旋律であるが、どちらもそれ単体として歌として成り立っていることがわかる。短くても良い歌は良いし、長くても悪い歌は悪い。例え短い名前であっても、それを良い鼻歌にすることは可能なのである。そのような希望を見出すヒントを与えてくれた曲である。
君の香りがする雨
この曲では、曲名の「香り」というのが気になる。なぜ、「におい」にしなかったのか。雨には「におい」という語がすんなりとくる。ただ、「君の」に続けることを考えた場合に、より上品な印象を与える「香り」を選択してものと考察する。
都会のメロディー
このサイトの記事のように、歌詞を読み解いていくときに手強いキーワードがいくつかある。その中でも最も取扱いの難しいものに「WOW」があげられる。この曲でも事あるごとに「WOW」と唄われているが、その正確な意味というものを見出すのは非常に難しい。「WOW」の使い方はアーティストによっても異なるし、同じアーティストでも曲によっても異なることも稀ではない。さて、本曲での「WOW」はどのような意味であろうか。本曲ではWOW WOW WOW とりみだすの「とりみだす」がヒントとなり、心が大きく動揺している様を表現しているものと推理できる。このことは、WOW WOW WOWの部分の旋律が、まるで心が動転している時のように大きく上下していることから、一層確からしい推定であるといえる。
そんなもんだろう
この曲ではそんなもんだろうという言葉が全ての意味で最も重要な位置を占めている。第一に、曲名に採用されている。第二に、歌詞において結論付けの部分に置かれている。第三に、歌の流れのなかで最も強く、はっきりと歌われている。その大きさは怒っているいるともとれる位の迫力を伴っている。また、多重録音の技術によって複数の声が同時に「そんなもんだろう」と発している。曲のキーワードがこれほど明確な曲も珍しい。
二度と会えない 二度と会わない
この曲は大いなる矛盾を抱えている。この矛盾に気付かれたかたはおられるだろうか。そのヒントは曲名とエンディングにある。この曲は曲名からもわかる通り、交際していたアベックの別れを題材にしているように思える。しかしながら、曲のエンディングでは教会式の結婚式のチャペルで聴かれるような、「アーメン」を連想させる和声で幕を閉じている。これら、「別れ」と「結婚」とは相容れることのない概念であるにも関わらず、それが一つの曲に共存している。曲の内容があまりにも絶望的であるがゆえに精神的に耐えられなくなった視聴者のために、せめて最後の最後だけでも救いの光を当てることにしようという編曲者の心配りが伺える。
Hands
昨日の分を取り返そうというくだりでは、思わず涙がでそうになる。主人公はおそらく、昨日に何か失敗したのだろうが、その分の巻き返しを図っているのである。一般的には過去を振り返るよりは未来のことを考えるほうがよいとされているが、このように過去の分を取り返すという姿勢は高く評価してよいのではなかろうか。
パワーソング
交際をしていた男女の別れの曲である。別れは悲しいものであるはずであるが、この曲ではその悲しみをバネとして新たな出発に向けて力強い一歩を踏み出すという決意が感じられる。アルバムを締めくくるのに、大変良い後味を残してくれる曲である。