この世界の果てで
良い曲と、そうでもない曲とを分ける基準があるとしたら、その一つとして、実際に鳴っている音だけでなく、その音と共鳴する形で聴き手の意識の上に別の音を鳴らすことができるかどうかということが挙げられると思う。すなわち、良い曲であれば聴き手が曲からインスパイアされて、自分で想像上の音を奏でて共演するのである。そんなことに気づかせてくれる曲である。Looper
途中で入ってくるギターサウンドがキングクリムゾンの名曲”Elephant Talk” を連想させる。
WITH
この曲のテーマは「雨」である。登場人物は雨に濡れているようなので、傘はさしていないらしい。あえてさしていないのか、それともどこかに忘れてきたのか。暖かい雨とあることから、真夏のスコールとも考えられる。いずれにせよ、”折りたたみ傘” を常に持ち歩いていれば安心である。
inside you
この曲には5回君が出てくる。この君とは主人公とどのような関係にあるのであろうか。君の未来だけ閉じ込めたいという歌詞から推すに、モンスターペアレンツがその子供を君と呼んで、その未来を案じるあまり、学校に対する過度の関わりと通して、間接的にその子供の未来を閉じ込めてしまっている結果となっているものと思われる。
My Lover
ギター演奏の途中に見られる音程変化を伴うミュートカッティングは、”バクチクの「ナルシス」” にみれれるそれと似ている。影響を受けたのかもしれない。
be gone
散り咲こうという歌詞が心に残る。本来であれば、花は一度散ってしまうと、もはや咲くことはできないはずであるが、その状態で「咲こう」というのは矛盾である。このような逆説的な表現は、聞き手に何を訴えかけるにおいて、成功するか失敗するかのどちらかに分かれるように思うが、この例では文句無く成功といってよいだろう。散ったことを消極的にとらえるのではなく、そのような極限的に追い詰められた状態で「咲く」ことによって、ほとばしるような輝きを放つことができるのだという、希望を与えてくれる名曲である。
be in agony
この曲はただ普通に聴くだけではやや物足りないと思う。何か特別な事をしている時に聴くのが良いのではないか。たとえば、旅行をして旅館に宿泊の際に和室の座椅子に座りながら聴くとか、川で釣りをしながら聴くなどが良い例として考えられる。
INTO THE SUN
太陽の中へ突入するというのはどういう心境なのであろうか。おそらく正気ではないことは間違いないと思う。曲の最後で「もう行く時間だ」とせきたてられる時の心境は、恐怖なのか、それとも喜びなのか、あるいはその両者なのか、御自分で曲を聴いて確かめて欲しい。
UNTIL THE DAY I DIE
歌と静かなギターと笛のような音の楽器というシンプルな構成の穏やかな曲である。「Luna Sea」というと激しく荒々しいというイメージがあるが、このような静かな曲もあるのかと正直驚いた。