I・DE・A 氷室京介

RE-BORN
この曲は冒頭のつぶやきの部分が残念である。このつぶやきは昨今流行しているtwitterを意識したのであろうか。しかし、結果としては音楽とtwitterの相性は良くないとうことを露呈した形になってしまったといえる。音楽をいえるためには、やはり歌詞がメロディーにのっているほうが良いのである。なお、氷室氏自身のtwitterが実際に存在するので、閲覧してみるのも良いだろう。
SWEET MOTION
この曲はちょうどリトマス試験紙のような曲であると思う。この曲を聴いて「良い曲だなあ」と思ったならば、その人は心のきれいな人であることがわかるような、そのような人の内心を見通してしまうような不思議な魔力を持った名作である。
FLOWER DIMENSION
主人公は、翼の無い蝶とを比べ、どちらかになるとするならば、その軽さを評価してを選ぶと言っている。ただ、風を選ぶということは、蝶には備わっている生命を放棄するということを意味する。つまり、生命に執着することなく、生命の無い風を選ぶということである。蝶の生命はいずれは終わりを迎える有限なものであるが、風はどんなに時を経たとしても止むことのない無限の性質を有している。主人公はそこの価値を見出したのであろう。
堕天使
この曲で唄われている堕天使とはこのような容姿のものであろうか。

NATIVE STRANGER
この曲の”シングルCD”  のジャケット写真が実にユニークである。氷室氏の片腕が飛行機となっている合成写真である。おそらく、「空を飛んでみたい」という欲望が異常なまでに肥大化し、ついにはその体の一部が飛行機の羽に変化をしていったものと思われる。しかし何故片腕だけが飛行機になったのであろうか。これではバランスがとれずにうまく飛べないと思われる。その理由は、食事・着替え・筆記など日常生活に不便をきたさないように配慮し、利き腕だけはそのまま残しておいたというところだろう。
LOST WEEKEND
曲の題名は「失った週末」というものだが、歌詞を詳細に検討すると、どうやら休日出勤のようである。主人公が属するプロジェクトの納期が間近に迫り、非常な多忙の状況にあり、平日出勤帯だけでた対処できないのであろう。その多忙さは、狂い出す, 死にたくなる, 壊れだすという悲壮な叫びからも十二分に伺うことができる。今日では「ワークライフバランス」の重要性が唱えられているが、本作品が作られた時代ではまだそれが浸透していなかったのであろう。
NO MORE FICTION
この曲の最後の最後に発せられる甲高いい叫び声は何であろうか。歌詞からこれを調査してみると、驚くべき内容が発見された。曲の終盤にlosing my headとあり、これは「頭部を喪失した」という意味になる。すなわち、殺人が起こったわけであり、その際に発した叫び声というのが正解であろう。
DRIVE
ドライブにも様々な種類のものがある。海が迫った海岸沿いの国道を休日の昼下がりにゆっくりとしたスピードで走るというのはいかにもドライブらしいといえる。ただ、この曲のテーマのドライブはそのようなものとは対照的な、より真剣でスリリングなドライブである。おそらく時間帯は深夜であり、場所は首都高であろう。また、車種はスポーツカーであろうし、その走りかたはレーサーを目指しているかのような高速のものであろう。そのようなドライブをしてみたいが金銭的に厳しいという方であれば、この曲をおすすめしたい。
HEAT
ここでいうHEATとはどのような熱であろうか。風邪をひいた時の熱であろうか。いや、そうではあるまい。風邪をテーマとした曲といのは氷室には似合わないし、歌詞も風邪とはまったく関係の無い内容であるからである。ここでは、やや唐突かもしれないが、「BOOWY熱」なるものがあるのではと思い当たっている。「BOOWY熱」というのは、BOOWYを始めて聴いたような際に精神的に熱を帯びた場合に、その熱のことを指す。この曲を聴くと、確かにBOOWYのサウンドを感じることができる。
DISTANCE
昨今の流行語に「キター」という語があるが、この曲が始るときの感覚はまさに「キター」という語がぴったりである。というのは、曲が持っている意思のようなものがスピーカーを通してこちら側に向かって勢い良く向かってくるのがまじまじと感じ取れるのである。その勢いの強度は他の曲と比べてもだんとつに強いものがある。その強さはラグビーのスクラムのようでもある。